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天井と海

そういえば、昔、よく天井を見ていた。昔と言っても、20年前かそこらだ。自分がまだ22歳とか24歳頃とか、20代の前半だったと思う。天井を見ていたと言っても、その当時は時間だけはたくさんあったので、とにかく何もすることなくアパートの部屋で寝転がって天井を見ていた。そして、ぼうっとしていた。ぼうっとしながら、考えにふけっていたりしていた。考えにふけると言っても、考えたり想像していたりすることは、半分は卑猥なことであったり、今日あんなことがあったとか、昨日以前の過去のこととか、これからどうしていこいうかなど、そんなことだ。23歳の時、初めて作った短編映画(8丱侫ルムで撮った)にも男が部屋の狭いベッドに寝転がってぼうっと天井を眺めているシーンを撮ったぐらいだ。でも、いつか長編でそんなシーンをまた撮ってみたいと思っている。登場人物が自身のヤリキレナイ欲望や空虚さを持て余し、だがどうしようもなくただ寝転がって、天井をみているのだ。だが、現代が設定の映画でそういったシーンを撮るとなると、天井をみる時間は、スマホの画面を見たりする時間になったりするのだろうか、しなければおかしいのだろうか、わからない。じぶんが20代の時に、自宅に結構な人たちが、1台くらいはPCを持っていたが、もちろん寝転がって見れるタイプではなかった。今の20代は、ゴロッと寝転がって、ぼうっと天井を見る頻度は少なくなり、友人や知人からのライン・メッセージや、企業からの広告メールがきたりして、スマホを見上げ、天井を見る機会は少なくなっているのだろうか。だが、果たして、自分が天井を眺めて何か得れたことというのはあるのだろうか。得れたことはないかもしれないが、少しは気持ちが安らいだように思う。悶々としていようが、うまくいっていようがなかろうが、今ここに俺は存在しているんだなと妙に体感できていた時間だったと思う。そして、自分が所有できた本当にプライベートであり自分以外の誰も知らない眺めだった。いまでもよくそのぼうっと見ていたあの天井の眺めを覚えているくらいだ。その時にみた天井の像なんかまで。それは、一人で海辺に行き(その当時、海に近い場所に住んでいたので、よく海を見に行っていた)、「俺はこれからどうしていけばいいんだ…」と、海を見ていたときの、波の音を感じながら見たあの海のように覚えているからだ。自分が今でも時々思い出す、20代の一人の時間というのは、この天井を見ている時のものか、海をただただ見ていたあの時のものなんだ。

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